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大都市と地方との間の医療格差

東京や名古屋、大阪等の大都市に人口が集中して久しいが、そのような状況は現代でも変わらない。その結果、地方と大都市において人口の差が生じている。大都市では市場が大規模であるため、利便性向上やサービス向上に向けられた取り組みが民間主導で行われている。もっとも、ネットの普及により、利便性やサービス向上は地方でもある程度は図られているため、日常生活においては、地域格差がそれほど大きく感じることはあまりないかもしれない。

しかし、医療においては深刻な問題となっている。そもそも、国の政策により、各都道府県には総合的な病院か設置され、地域医療向上に向けた取り組みがなされている。しかし、大都市の場合は、官庁が主導でなくとも、私立の大学病院や総合的な病院があるため、大都市では最先端の医療が地方よりも受けやすくなっている。その一方で、地方では都道府県に官庁が主導する総合的な病院があるものの、私立の総合的な病院はほとんどなく、先端医療を受けることが困難な場合もあるのだ。また、例え大きな病院が設立されていても、住んでいる場所が離れている場合は、受診するまでに車や電車で数時間かかる場合もある。そのため、緊急事態が起きた際には、最先端の医療なら救命できる命も、病院まで辿り着く前に失われることも少なくないのだ。

経済原理で見れば地方は人口が大都市に比べて少ないため、病院を設立するメリットは薄い。しかし、人の命をこのような経済合理性で考えることには問題がある。今後の医療の発展を考える時には、このような大都市と地方との格差にも目を向けるべきではないだろうか。