日本における医療格差の現状
日本では都市部に医療機関が集中し、地方では離島などを含む無医村が増加し、医療格差の問題が指摘されている。また、地方ではないものの、交通アクセスが充分でないエリアに住んでいると、病院にかかるのも大変だという場合もある。
そのため、過疎地では、医師が他の診療科を診ることもあり、専門の医療機関を受診するのに時間や交通費がかかるという悩みがあるようだ。また、脳内出血や心筋梗塞など時間との勝負の場合でも、そのような緊急の患者を受け入れる救命救急センターへの搬送に長時間かかるなどの現状もある。高度ながん医療を行うがん診療連携拠点病院も、全国の約30%は置かれていない状態だ。都市部と地方とでは来院する患者の数が大幅に違うので、病院側としても診療報酬に大きな格差が生じていることだろう。さらに、地方では、高額医療機器の設備などの投入も敬遠されがちで、医師をはじめ看護師などの医療スタッフを揃えるのが難しい状態にもなっているようだ。
このように、日本では健康保険制度やさまざまな補助制度が国や地方公共団体によって設けられているのにも関わらず、受けられる医療のレベルに格差が生じている。同じ保険制度を利用しているのに、住んでいる場所によって医療サービスにどうしても差が生じてくるのは問題だ。医師などのスタッフが充実し、専門的な高度医療機器が充実をしている病院がある一方で、医師がいなかったり、専門的な医療を遠方まで行かないと受けられない地域もあり、その差を埋める努力は、今後の医療業界の課題となるだろう。