大河内山荘と京都観光

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「大河内山荘」京都ウエストサイド物語

   

丹下左善の「大河内山荘」


嵐山の亀山公園に接する大河内山荘は、
京都でも屈指の回遊式日本庭園です。
お金持ちの映画スター大河内傳次郎が道楽で
金に糸目を付けずに造らせた自慢の庭。
そんなふうに思って行った人ほどびっくりします。

個人の趣味というより、執念ですかねえ・・・


大乗閣
映画が娯楽の王様だった頃、
日本中を熱狂させたヒーローがいた。

  つぶれた右眼の上に走る大きな刀傷。
  純白の着物の下に
  女物の真っ赤な襦袢を身に付け、
  名刀“濡れ燕”を左腕で振り上げながら
  痛快な活躍を繰り広げる隻眼隻腕の怪剣士。

  その名は丹下左膳。
  昭和2年に毎日新聞に連載された
  林不忘の時代劇小説
  「新版大岡政談・鈴川源十郎の巻」に
  登場し、主人公の鈴川源十郎や
  美男剣士の諏訪栄三郎よりも、ニヒルな脇役
  丹下左膳に人気が集まってしまった。

読者の圧倒的な人気もあって映画化され、
多くの俳優によって演じられてきた名作だが、
何と言っても大河内傳次郎演じるところの左善が評判だった。

片目片腕の剣士にとって形にきまった殺陣は通用しない。
大河内の立ち回りはとにかく荒々しくスピーディーだ。
無声映画からトーキーになって
「シェイは丹下、名はシャジェン」の名文句でも人気を博した。
九州の豊前なまりがいつまでも消えなかっただけのことだが、
当時の伊藤大輔監督もそのまま通した。
その語り口はいつまでも大河内傳次郎という役者の
人柄までをも観客の心に印象づけた。







昭和3年/日活太奏作品血煙高田馬場




映画スターとしての30年間の莫大な出演料を全てつぎ込み、
嵐山に創りあげようとした大河内山荘とは何だったのだろう。

 
 
受付

 
中門

山荘を創りあげること以外に道楽はなかった人気スターは、熱心な仏教信仰者だった。



山荘の創作は傳次郎32歳に始まる。
小倉山の南麓、約2万平方メートルの敷地を昭和7年に購入し、
30年をかけて、庭師広瀬利兵衛とともに創作の日々を送った。



自然の傾斜と嵐山を借景にした回遊式庭園は、
訪れた客が驚きの眼をみはらせる趣向が随所に凝らされている。



松に白砂の庭に「静雲亭」がたたずみ、
茶室「滴水庵」には苔の緑に心が潤う。
その奥には山荘着手の第一歩であった「持仏堂」。
傳次郎はここでの座禅を組み瞑想を好んだ。



山荘には展望所があり嵐山を背景にして
眼下のかなたには保津川の峡谷を見下ろす。また
比叡山や東山連峰を背景に京都市内の町並みも一望できる。



大河内傳次郎の出演した映画は280本にのぼり、
その映画出演は全て庭の完成のためだったとされる。



銀幕に躍ったアウトローな隻眼隻腕の怪剣士、
丹下左膳の魂の結晶が、静寂と様式美の山荘であった。









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